日本のエネルギー事情 原発はこれからも続くのか!?

2011年3月11日、日本全土を揺るがす未曾有の大災害東日本大震災が発生し、原発事故が起きました。あれから9年。日本で現在原発が何基稼働しているか知っていますか。日本では今9基の原子力発電所が稼働しています。稼働していることすら知らない人も多くいると思います。では、なぜあれほど危険な事故が起きた原子力発電所を停止していないのでしょうか。

 

原子力発電はもともと原子力爆弾を多額の予算をかけ開発したアメリカが戦後になって、平和利用しようと開発を始めた物です。日本でもアメリカの影響を受け、1953年に原子力研究予算が充てられます。日本はメディアを利用して原子力を良いイメージで国民にPRをしていきます。そんな時代に生まれたのが原子力で戦うヒーロー鉄腕アトムです。第五福竜丸事件という漁船が被爆した事件の際も、これほどまでに漁船を破壊してしまうエネルギーを平和利用しましょうとメディアを使ってPRしていきます。安全で素晴らしいエネルギーをもっていますよという原子力発電のPRが功を奏し、では実際に原子力発電所を建設しようとなったとき、政府は地方に設置することを計画します。すると地方は大反発。なぜ安全なのに地方に置くんだ、都心でもいいじゃないか、本当に安全なのか。そこで1974年当時の総理大臣であるコンピュータ付きブルドーザーこと田中角栄が「電源三法」というものを成立させます。それは簡単にいうと、原子力発電所を設置したその地方には交付金を配るよという法律でした。お金に困っている地方はたくさんありました。ある地方が交付金もらえるならと原発を設置したところ、交付金で街に活気が出てくるわけです。それをみた他の地方自治体も原発設置へ続いていき政府は原発を設置することに成功します。しかし原子力発電所の事故は耐えません。1986年ソ連チェルノブイリ原発事故、そして2011年東日本大震災による福島第一原発事故。ではなぜ原子力発電が終わらないのか。それは、原子力発電を終わらせると損失をうける人がおり、その人達が複雑に絡みあっているためです。

 

あれが損失を受け、どういう関係があるのか。

1つは日本政府です。安倍総理大臣の政策アベノミクスには三本の矢というものがあります。金融政策、財政政策、成長戦略です。その三本目の経済成長とは原発を海外に輸出することで外貨を得るというもの。アベノミクスで大切な役割を担っているのが原発です。さらにアメリカのトランプ大統領に日本は防衛をアメリカに頼りすぎだ、防衛のために核兵器を作ってもいいんじゃないか?と言われており、核兵器と深く関わっている原発をやめるわけにはいかないなんて声もあるけどどうなのか。

2つ目は官僚と電力会社です。官僚の天下り先として電力会社は官僚を多額のフィーで受け入れています。ただ電力会社は多額のフィーを意味もなく払っている訳ではありません。元官僚を在籍させておくことで、政府との交渉をうまく行っているのです。つまり電力会社にとって都合の悪い政策や予算を通さないように交渉役として官僚を受け入れているのです。原発がなくなると官僚と電力会社の関係もなくなってしまう。

3つ目は電力会社とメディアです。原発を管理している電力会社はメディアのスポンサーになっており、メディアとしては大きな収入源になっている。だからメディアは電力会社のことを悪く書けません。

 

こんな感じで関係者らが複雑に絡み合っていて辞めるにも辞められないのが原発です。政府は東日本大震災福島原発事故は設計に問題があった、設計がしっかりしていれば事故は起きないとしています。にも関わらず国の原子力規制委員会は「原発の再開は安全基準を満たしている原発に限ってであるが、基準を満たしていることは認めるが安全を保証するわけではない」と言っている。どういうこと!?って感じですよね。責任逃れといわれても仕方ないような言い方です。

 

原子力発電では使用した燃料の95%は再利用ができますが、5%はゴミ(放射性廃棄物)として処理しなくてはいけないものが出ます。衝撃的なことにその5%はすごく人体に有害でありながら処理方法が見つかっておらず放置されています。日本では青森県茨城県の施設が仮置き場とされています。ゴミを処理するのは現状ゴミが放射性廃棄物ではなくなるまで待つしか無く、数万年かかるとされています。世界では地層処理という地中深くにゴミを埋めてしまおうという処理が考えられており、日本も同様です。フィンランドでは正式に地層処理が決定し、オンカロという施設が作られて地層処理の実現に向けて動き出しています。ただフィンランドの場合現状稼働している原発は4基と日本より少なく、日本でこのオンカロをつかった地層処理を行うのが可能かどうかはもう少し考慮が必要だし、日本国民への説明が必要かなと思います。オンカロが作られるのはどこなのか、それもまた議論を呼びそうです。

元首相小泉氏はフィンランドを視察し、日本では地層処理は実現不可能だから脱原発しようと発言しています。ドイツは脱原発をしました。

ただ、日本のエネルギーの自給率は10%程度で食料品よりも低い自給率を知ると自国で発電ができる原子力発電を簡単に辞めようとは言えない気もしています。日本のエネルギーの8割を占める火力発電に使われるLNG(液化天然ガス)、石炭、石油はほとんど輸入に頼っており、コロナウイルスの流行で人の流れが止まると危機的な状況になる(特に石油、貯蓄できる量が2週間と決まっているらしい)という記事もあります。エネルギーの自給率を高めることは必要です。日本には次世代のエネルギーとして期待されているメタンハイドレートが埋蔵されているが、しかし採掘が困難という話もあります。

自給率を高めるのがいいのか、その為にはどうするべきか。メタンハイドレートを採掘する方法を考えるのか。地層処理を実現する方法を考えるのか。それとも新しい発電を生み出すのか。そもそも自給率は高める必要があるのか。何がベストなのかを決定することは専門知識も必要ですし、難しいとは思いますが、多くの国民が考え、議論することはできるのではないでしょうか。